ジャコウアゲハの紹介


■ なぜ姫路市の市蝶になったのか 平成元年に姫路市は、市政百年を迎え、「市蝶」にジャコウアゲハを制定しました。 それは次のような理由からです。

1)瓦紋が「揚羽蝶」 姫路市のシンボル姫路城には、築城主 池田輝政の家紋「揚羽蝶」の瓦紋が多数用いられています。
2)お菊の化身は蝶のさなぎ 「播州皿屋敷」の悲劇のヒロインであるお菊さん。その化身といわれているのが、「お菊虫」。実はジャコウアゲハのさなぎなのです。
3)幼虫が農作物を食害しない アゲハチョウの仲間の幼虫は、ミカンやサンショウ・ニンジンなどの農作物を食害しますが、ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサを食べるので、決して農作物に害を及ぼすことはありません。

■ さなぎはお菊の化身?

今から約450年前、青山鉄山は、町坪弾四郎と相談して姫路城を乗っ取ろうとしました。城主はその計画に気付き、お菊を鉄山の女中として住み込ませて様子をさぐらせていました。 このことを弾四郎に気付かれ、家宝の皿を一枚隠してお菊のせいにしました。皿を割ったぬれぎぬを着せられたお菊は、姫路城内の松の木に吊るされて斬り殺され、井戸の中に投げ捨てられたのです。 それから300年近く経って城内にお菊さんが後ろ手に縛られたような、不気味な虫が発生しました。 (「姫路お城物語」姫路市教育委員会著より)

■ どこで見られるか

ジャコウアゲハは、幼虫の食草である「ウマノスズクサ」が生えている姫路市内の何ヶ所かで見ることができます。私たち協議会のメンバーは、ウマノスズクサの自生地を市内に殖やす運動を展開しています。

■ ジャコウアゲハの成長過程

4月から9月にかけて、年3回発生します。 幼虫は他のアゲハチョウと異なった形をしています。卵から約10日間で孵化。幼虫は鳥のフンに似ており、食草はウマノスズクサです。この草は、果実が馬の首に付ける鈴に似ているところから 「馬の鈴草」の名があり、 原野や河の堤防などに生える多年草の植物です。幼虫は4回脱皮して約20日で蛹になります。 捕まえると一種の匂いがするのでジャコウの名があるのです。

■ 姫路城の何千もの揚羽蝶の瓦紋

「播磨人の美的感覚はすごいで。姫路城の屋根瓦で桐(きり)の 樹海(じゅかい)の上を何千、何万もの揚羽蝶が乱舞しているところを表しとんのや。その向こうで鯱が跳ねとるのや。瀬戸内海の鯨(くじら)を見て造ったと思うで!」 (故 選定技術保持者/小林 平一氏 談)

他にもジャコウアゲハのモニュメントは、姫路市内の各所で見られます。